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曲目解説
この曲は2005年に須川さんから、ソプラノ・サクソフォン、テナー・サクソフォンとピアノのためのトリオを、と委嘱を戴いて書いたのが原型です。この編成ならソプラノとテナーでオペラの2重唱のような、というのはごく自然な発想でしょうし、その題材として七夕伝説を下敷きにというのも、そう目新しさはないことでしょう(書き始めたのが7月だったというのもありますし)。ではありますが、そのおかげで、多くの方々(海外の方を含め)に、あ、こういう曲なんだな、と伝わりやすいものになったのではないか、せつない気持ち、燃え上がる思いなどを、かなり音であらわせたのでは、と思っております。
この吹奏楽版はヤマハ吹奏楽団の委嘱で2013年に作りました。この濃密な情感を大切に、繊細でありつつ強い思いも伝わるように、と腐心いたしました。それこそオペラ的色合いも込めて。ですので、演奏されるにあたっては、譜面を音にするだけでなく―それはどの曲でもあたりまえのことですが、この曲では特に―情動に寄り添うように、こんな気持ちじゃないかと感じられたことを音にしっかり乗せられるように、心を配って戴きたい、と願っています。(長生 淳)