曲目解説
シテール島とは、ギリシャのペロポネソス半島の東南に位置する現在のキティラ島を指しており、ギリシャ神話の女神ヴィーナスの生誕地として知られています。この島は、ユゴー《静観詩集》やボードレール《悪の華》などの詩集、クープラン《シテール島の鐘》、ドビュッシー《喜びの島》、プーランク《シテール島への船出》などのピアノ作品をはじめ、幸福な恋愛の舞台として、多くの文学作品や音楽作品に登場しました。
標題はアントワーヌ・ヴァトーの同名の絵画からとりましたが、吹奏楽曲としてのこの作品は、ヴァトーの絵画自体を写実するものではありません。標題から受ける印象としての、未来へ向けての期待感や幸福感といった感情を表現しています。
演奏する人も聴く人も明るく前向きな気持ちになるよう、元気で華やかな演奏を心がけてください。

なお、この曲は、福本信太郎氏の指揮、川口市・アンサンブルリベルテ吹奏楽団の演奏によって、2011年7月に初演され、響宴XV（2012年）でも演奏されました。
（坂田雅弘）