<サクソフォーン8重奏-アンサンブル>

曲目解説
この曲は、東京大學サクソフォン同好会より委嘱をいただき、10周年の演奏会に向けて書いたものです。同団体は、東大生を中心にOBOGも多く参加して年2回の演奏会開催のために集まる、という形をとっているそうで、それが10年も続いてきているのは、そこに得難い貴重な瞬間があればこそだろうと想像しています。そういった貴重なひとときなればこそ、流れさっていくことを惜しむ気持ちもひとしおというもの。たとえば本番のステージで、演奏を楽しみ没入しつつも、心のどこかで、こうして1曲1曲演奏会が終わっていく寂しさを感じている、といったことは、楽器に携わる人なら誰しも味わったことがあるのではないでしょうか。
大切に想う強さは惜しむ強さ。アン・ディザン・ラ・プレシュズ・デ・モマン―瞬間々々の貴重さを語ることで―とはつまり愛惜の念の強さを語ること、というのがこの曲の出発点になっています。ただそれを聴きてに伝える、というよりは、アンサンブルそのものを楽しんでもらえたら、それも「パート」というのではなく「人対人」であるような、一人一人の顔が見え持ち味が伝わるような、情味あるアンサンブルを作り上げるなかで、大切なひとときが生まれ、結果として、いとおしむ気持ちを聴きてと共有してもらえたら、などということを願っております。（長生淳）



楽器編成
1st Soprano Saxophone in B♭
2nd Soprano Saxophone in B♭
1st Alto Saxophone in E♭
2nd Alto Saxophone in E♭
1st Tenor Saxophone in B♭
2nd Tenor Saxophone in B♭
1st Baritone Saxophone in E♭
2nd Baritone Saxophone in E♭