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【レンタル楽譜】波瀾万丈(全3楽章)(天野正道)
天野正道 作曲 演奏時間 約27分半(通奏時) グレード 4〜4+
曲目解説
世界的なパンデミックが広がりつつあった2020年2月某日、某所でグラールウインドオーケストラ第40定期演奏会委嘱曲の打ち合わせが行われた。佐川さんや団員の意向を取り入れて欲しいということで、この打ち合わせが開催されたのだった(世の中がきな臭くなってきたので今のうちに飲み会をやろう、という口実)。例えば「Trp.とTbn.のoct.unisonのメロディーを是非、だれも欠けてはならない、宇宙から観る地球」等色々アイデアが出てきたのだった。酔いもだいぶ回ってきた頃、佐川さんの鶴の一声「あまにょ、俺の波瀾万丈な人生を曲にしろ!」と。ポルケの時もアダージョの時も、曲の内容は飲み会の席に於ける佐川さんの一言で決まったのだが、今回も同様だった。てな訳で「波瀾万丈」を書き始めたのが、このコロナ禍で第40定期演奏会は1年延期。コンクールも中止。世の中全てが様変わりしたことは皆様ご存じの通りである。
作品というのはある意味「生物(なまもの)」なので、曲が仕上がってからなかなか演奏されないと腐りかけることがあるのだ。また、初演まで時間があると新たなアイデアが浮かんでくるのが作曲家の性。色々推敲している矢先、そう、それは7月27日のことだった。グラールのコントラバスクラリネット奏者で、いつも拙曲の初演をして下さっていたヌーボーこと真崎孝博君が急逝。突然のことで呆然となり曲を書くどころでは無くなってしまったのである。今回も本来ならばコントラバスクラリネットが活躍する曲になっていたのだが、彼を想定して書いていたので他の奏者では意味合いが違ってくる。故にこの曲にはコントラバスクラリネットは入っていない。だが初演時にはステージのいつもの位置に彼の席と楽器を用意していただいた。2月某日の打ち合わせで出た「だれも欠いてはならない」という団員からのタイトル案は彼の逝去を暗示していたのだったのだろうか・・・
7月5日に私の母も鬼籍に入ったが、このコロナ禍の影響により地元秋田で行われた仮葬儀にも出席出来なかった。二度あることは三度ある、の諺通り8月25日には私も色々とお世話になった佐川さんの奥様、裕子さんがご逝去してしまった。度重なる不幸に見舞われほぼ完成しかけていた曲の殆どを廃棄。かつてのモティーフを使いながらも全く別な楽想の作品となった。特に「巻之弐」には「哀悼」という副題を追加している。
母が晩年いつも歌っていた拙曲「Paraphrase par 《Statique et Extatique》 avec un prologue et l'epilogue」の部分的な8小節(何故かこの部分だけ歌っていた)そして真崎君が特に気に入ってくれていた某拙曲の和声進行(解る人はすぐに解るであろう)を追悼の意味を込めて挿入している。
このようにかなり個人的な作品だが、これに捕らわれず楽譜から感じ取ったままに演奏して頂ければ幸いである。(天野正道)
※この商品は全3楽章(巻之壱、巻之弐〜哀悼〜、巻之参)セットのレンタル楽譜です。
● 「巻之壱」は こちら
● 「巻之弐 〜哀悼〜」は こちら
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世界的なパンデミックが広がりつつあった2020年2月某日、某所でグラールウインドオーケストラ第40定期演奏会委嘱曲の打ち合わせが行われた。佐川さんや団員の意向を取り入れて欲しいということで、この打ち合わせが開催されたのだった(世の中がきな臭くなってきたので今のうちに飲み会をやろう、という口実)。例えば「Trp.とTbn.のoct.unisonのメロディーを是非、だれも欠けてはならない、宇宙から観る地球」等色々アイデアが出てきたのだった。酔いもだいぶ回ってきた頃、佐川さんの鶴の一声「あまにょ、俺の波瀾万丈な人生を曲にしろ!」と。ポルケの時もアダージョの時も、曲の内容は飲み会の席に於ける佐川さんの一言で決まったのだが、今回も同様だった。てな訳で「波瀾万丈」を書き始めたのが、このコロナ禍で第40定期演奏会は1年延期。コンクールも中止。世の中全てが様変わりしたことは皆様ご存じの通りである。
作品というのはある意味「生物(なまもの)」なので、曲が仕上がってからなかなか演奏されないと腐りかけることがあるのだ。また、初演まで時間があると新たなアイデアが浮かんでくるのが作曲家の性。色々推敲している矢先、そう、それは7月27日のことだった。グラールのコントラバスクラリネット奏者で、いつも拙曲の初演をして下さっていたヌーボーこと真崎孝博君が急逝。突然のことで呆然となり曲を書くどころでは無くなってしまったのである。今回も本来ならばコントラバスクラリネットが活躍する曲になっていたのだが、彼を想定して書いていたので他の奏者では意味合いが違ってくる。故にこの曲にはコントラバスクラリネットは入っていない。だが初演時にはステージのいつもの位置に彼の席と楽器を用意していただいた。2月某日の打ち合わせで出た「だれも欠いてはならない」という団員からのタイトル案は彼の逝去を暗示していたのだったのだろうか・・・
7月5日に私の母も鬼籍に入ったが、このコロナ禍の影響により地元秋田で行われた仮葬儀にも出席出来なかった。二度あることは三度ある、の諺通り8月25日には私も色々とお世話になった佐川さんの奥様、裕子さんがご逝去してしまった。度重なる不幸に見舞われほぼ完成しかけていた曲の殆どを廃棄。かつてのモティーフを使いながらも全く別な楽想の作品となった。特に「巻之弐」には「哀悼」という副題を追加している。
母が晩年いつも歌っていた拙曲「Paraphrase par 《Statique et Extatique》 avec un prologue et l'epilogue」の部分的な8小節(何故かこの部分だけ歌っていた)そして真崎君が特に気に入ってくれていた某拙曲の和声進行(解る人はすぐに解るであろう)を追悼の意味を込めて挿入している。
このようにかなり個人的な作品だが、これに捕らわれず楽譜から感じ取ったままに演奏して頂ければ幸いである。(天野正道)
※この商品は全3楽章(巻之壱、巻之弐〜哀悼〜、巻之参)セットのレンタル楽譜です。
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