曲目解説
2010年に東海大学付属高輪台高等学校吹奏楽部の20人編成バンドのために書かれたこの曲は、『まさしくこのバンドのために書かれたのだ』ということが、楽器編成を見ると良く分かります。
楽曲中、金管楽器はクラシック調・サックスはジャズテイスト・その他の木管楽器はアイリッシュ風・打楽器メインのところはアフリカンな雰囲気と、バンドを4つに分けて複数の音楽スタイルを混在させているのが特徴で、終わりに近づくにつれ種類の異なる音楽が次々と重なり、融合していく様は見事です。
一つの楽曲に様々なスタイルの音楽が存在している自由と、吹奏楽の定型編成に縛られない自由。聴けばすぐに音楽のスタイルやジャンルと呼ばれるものが分かってしまう不自由。この曲の裏テーマは、『自由と不自由のせめぎ合い』、『その境目への挑戦』のようにも感じられます。
各楽器グループは、担当する音楽のスタイルを明確に表現すると良いでしょう。打楽器、特にドラムセットは全てのグループに参加しており、変化がめまぐるしいことの難しさもありますが、最も面白いパートとも言えます。
種類の異なる音楽が同時に存在する面白さや、それが交わりやがて融合していく面白さを、奏者にも聴衆にも味わってもらいたいと願っています。（楽譜担当）