曲目解説
この作品は2005年ヤマハ吹奏楽団浜松の委嘱により書き始め、翌年3月に完成した8分ほどの作品。今回委嘱を頂き私が題材にしたのは『究極の疑問』という漠然なものでした。その究極の疑問とは人類、宇宙の起源と言う未だ完全なる答えが出ていないものであり、これからも追求されていくであろう事に着眼点を置きました。作品名である『すべての答え』とはこの作品に答えがあるのではなく聴衆、奏者、指揮者の皆様の思考回路、探究心などを刺激する事ができるような曲になる事を願ってこの作品名にしました。
曲は『問いかけ』のテーマである6つの音から始まります。この6つの音は4つと2つに分かれて奏でられるのですが、この意味はあるSF小説に出て来た一節『生命、宇宙のすべての答えは42なのである。』という言葉を引用したものです。『42』が何を意味するのかは不明ですがその神秘性に惹かれテーマを4と2に分けました。このフレーズは随所に現れ答えを求め、追求し続ける姿を表現しています。前半部では各セクションのアンサンブルで支配する調性と全体が支配する調性が共存しながら進み徐々にここの調性が一つにまとまっていきます。その後早部に入りリズミカルかつ、壮大に答えを求める旅を描きます。その後オーボエのソロを挟みテーマが再現され徐々に盛り上がり、最後の『問いかけ』をして作品は幕を閉じます。とても漠然とした内容ですが少しでも私の思いが伝わる事を願って・・・。
なお、本楽譜は初演時の「完全版（Original Version）」と「コンクール演奏用の短縮版（Composer's Cut Version）」の両方を収録しています。
（清水大輔）