忘れたいのに忘れられない、忘れたくないのに忘れてしまう、2011年からの記憶。
辛かったことも怖かったことも、今は一度、ここに留め置こう。
たどり着いた終楽章では、輝かしく堂々とした響きで未来への希望を奏でます。

【曲目解説】
「祈りの海へ」は東日本大震災が起こった2011年に、.プレリュード .失われた時間を作曲し、2019年に続編となるとを作曲し、同年に都立小山台高等学校吹奏楽班によって初演されました。
III.哀歌は哀しみだけではなく、悔しさや苛立ち、怒りといった様々な激しい気持ちが表現されています。そして途中ではトランペットやトロンボーンのソロが登場し音楽に更なる緊張感を与えます。IV.祈りの海へはパッサカリアでできており、一定に進行するコードの中で楽器がどんどん増していき、大きな祈りを表現しています。そして最後は未来に向けての希望や光を心に抱き、曲を締めくくります。
震災以来、これまで毎年被災地での復興支援コンサートを行ってきましたが、復興までにはまだまだ時間が必要です。この曲を通して、祈り・希望・勇気を沢山の方に与えることができれば作曲家として嬉しいです。（松下倫士）

「『祈りの海へ』より I.プレリュード　II.失われた時間」　はこちら