こんにちは~!
今週も、「雪が!」各地で大変なことになっていますね。
普段雪に慣れていなかったり、備えのない地域ではなお一層。。
ついに今週は、「平日に降雪」という予報も聞かれるようですので、お持ちでない方は今度こそ、スコップや懐中電灯を初めとする備品を揃えておいた方が良いかも知れませんね。
それでは、本日の作品紹介に参りましょう。
本日は、鈴木英史氏の作品から4曲、ご紹介していきたいと思います!
開闢の譜 / 鈴木英史
演奏時間 約8分
レンタル価格:27,000円(税別)
宮城県仙台第三高等学校の委嘱を受けて書かれた、2012年の作品。
東日本大震災の被災地中心部とも言える仙台の学校から、「震災後の決意と前向きな姿勢を」との依頼で書かれています。
鈴木氏は、依頼主のオーダーを受けとめつつ、しかしそのまま返すのではなく
甚大な被害を受けながらも
既存の精神の見直しから
新たな形を創造する精神の強さ、
しかし
根底に横たわる絶望と諦め
鎮魂も含んだ
“葛藤のひびきのうた”
としてこの曲を書きました。
葛藤とは、複数の意思・感情が存在しせめぎ合うこと…
一つの単語でシンプルに表すことの困難な、けれどそのものは“ひとかたまりの感情”とも感じられる何かが、この曲の中にとじ込められています。
最近ご紹介している作品は、難易度を示すグレードが4もしくは4+のものが中心なのですが、
実はこの「開闢の譜」は3+と設定されています。
この、3+というグレードは主に「技術面が3+」というふうにとらえて頂きたいと思います。作曲者の解説の中にもありますが、演奏を仕上げていくにあたり、この作品はとくに「精神的な仕事の比率が大きい」作品なのです。「譜面どおりに音を出せた」その後が肝心です。
作り込めば応えてくれる。じゃあどうアプローチしようか? ここで、「練習期間中に一旦寝かせてみる」という方法をご提案させて頂きたいと思います。
あくまで一つの提案でしかありませんが、音楽に限らず「寝かせていた間に何かが変わった」というご経験のある方は多いのではないでしょうか。
寝かせる時間を取るには、少し早めにスタートをきる必要がありますので、この時期にご紹介させて頂きました。一つの選択肢として、検討してみて下さいね。
「開闢の譜」の演奏は、こちらのCDでお楽しみください。
CAFUAセレクション2013 吹奏楽コンクール自由曲選 「開闢(かいびゃく)の譜」
演奏:海上自衛隊東京音楽隊
CACG-0200
それでは次に参りましょう。次は…
ソチオリンピック・パラリンピックに沸く、ロシアゆかりの2作品です!
セルゲイ・モンタージュ / 鈴木英史
演奏時間 約7分半
レンタル価格:29,000円(税別)
ピエトロ・モンタージュ / 鈴木英史
演奏時間 約9分
レンタル価格:29,000円(税別)
「セルゲイ」はピアニストとしても有名な「セルゲイ・ラフマニノフ」、
「ピエトロ」は「ピョトル・イリイチ・チャイコフスキー」のファーストネームから。
セルゲイ・ラフマニノフは1873年にロシア西部のノヴゴロトに生まれ、後にドイツドレスデンへ移住、モスクワに戻るも1917年に革命を受けてパリに亡命し、1909~1910年にアメリカに渡りその地で没しました。
一方のピョトル・I・チャイコフスキーは、1840年ロシアはヴォトキンスク生まれ、ペテルブルグ、モスクワ等で活動し1893年にペテルブルグで亡くなっています。
時系列では、チャイコフスキーが先でラフマニノフが後、その時期にはかぶっている期間があります。実際、チャイコフスキーはラフマニノフの音楽を評価し、良き理解者であった…という関わりもあるのです。
チャイコフスキーは、初期には民俗的な要素を取り入れた国民主義的な作品を多く書きましたが、後になると古典的な形式の探究や主観的な情感の表出が強く見られ、独特の語法をもって絶望から歓喜まで感情を大きく行き来する音楽を書いていきました。
他方、ラフマニノフは、ピアニストとしてショパンおよびリストの流れをくみ、華麗で豊饒なピアノの技法を作り上げました。作曲をする際にも、多分に「ピアノで(あるいはピアノ的に)考える」ことがあったようで、精神的な深さよりは、直感的で親しみやすい作風であるとも言われています。
こんなふうに二人を比して紹介したのは、時代の流れ、二人の関連、違いと共通事項を意識してみて頂きたかったからです。音の重さも、厚さも、温かさも冷たさも、華麗さも暗さも叙情性も、ロシア的というイメージには結び付きますが、チャイコフスキーとラフマニノフという条件を投げ込めば明らかに異なるものです。
「ロシアの西の方」というくくりでは随分大雑把ではありますが、かの地の風景を沢山見られる機会のあるいま、興味をもって頂ければと思いご紹介させて頂きました。
「ピエトロ・モンタージュ」の音は、こちらのCDでどうぞ!
CAFUAセレクション2012 吹奏楽コンクール自由曲選 「火祭りの踊り パラフレーズ」
演奏:航空自衛隊航空中央音楽隊
CACG-0181
「セルゲイ・モンタージュ」を収録したCDの情報は、下記リンク先でご覧下さい。
鈴木英史 吹奏楽の世界Vol.2 サーカスの女王&セルゲイ・モンタージュ(BOCD-7323)
指揮:加養浩幸
演奏:土気シビックウィンドオーケストラ
それでは、次の曲に参ります! 本日最後にご紹介するのはこちらの作品♪
カントゥス・ソナーレ / 鈴木英史
演奏時間 約10分
レンタル価格:30,000円(税別)
初演は2004年ということで、作品が生まれてからもう10年…ということですね。
カントゥス(cantos)は“歌・旋律”、ソナーレ(sonare)には“響き”という意味があります。
「全」と「個」と「調和」と「愛」。あえてバラバラにしてみました。
四則演算のように、入れ替え組み替えながら意味を探してみるのも、音づくりへのアプローチになりそうですね。
例えば…まっすぐ組むなら、「全と個の調和は愛によって成る」…かな?
これだと、解説にある通りですが。
さて、いろんな曲がそれぞれいろんな要素を持っているとはいえ、いま、この曲をひとことで表す言葉を挙げよと言われれば、私は「シリアス!」と答えます。。
さらに、ふたこと目以降を許されるならば、「内外からの緊密な支え」です。
それは、「内側のつっぱり」「外側の張力」とでも申しましょうか…全体の隅々にまでゆき渡った、緊張感のことを言いたいのですが。
抽象的・哲学的なテーマではありますが、大人から中学生まで、ぜひ「シリアスに!」取り組んでみて頂きたいと思います。演奏者全員一人一人、考えることも練習のうち、音づくりのうちと特に言える作品ではないでしょうか。
鈴木英史「カントゥス・ソナーレ」の演奏は、こちらのCDでお楽しみください!
TITAN
演奏:創価グロリア吹奏楽団
CACG-0055
G・マーラー 交響曲第5番
演奏:文教大学吹奏楽部
CACG-0087
本日も最後までお付き合い頂き、誠にありがとうございます。
なんだか私見が多くなってきましたか? 気をつけますね! さて、こちらのサービスは皆さんもうご利用頂いていますでしょうか?
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この「春のレンタル楽譜紹介」と並行して、新作もご紹介していく予定ですので、どうぞお見逃しなく♪
楽譜事業部
高橋