コンクール全国大会を“予習”しよう!-東海支部編

こんにちは!
全国大会予習シリーズ、本日もお読み頂き誠にありがとうございます!
第6回となる本日は、東海支部代表団体の自由曲から何曲かご紹介させて頂きます。早速参りましょう!

0202
土気シビックウインドオーケストラ(vol.17)
『J.ヴァンデルロースト 交響詩「モンタニャールの詩」』
指揮:加養浩幸

こちらのCDでタイトル曲にもなっている、交響詩「モンタニャールの詩」を、愛知県の愛知工業大学名電高校吹奏楽部が全国の舞台で演奏します。
“モンタニャール”は”Montagnard”と書きますが、フランス語で「山岳地方の人々、山地の住民」という意味になります。なので、タイトルをあえて日本風に言いかえると「山の民のうた」という感じですね。しかも委嘱団体はイタリア北部、アルプスの麓で活動する市民バンドということですから、特定の山(もしくは山脈)なわけです。

この土気シビックによる演奏はたっぷり16分半の収録となっており、前奏で丁寧に山麓の舞台背景を描きだし、厳しくも美しい山、されど寒い夜や冬には否応なく怖い危険な山、山から吹き下ろす冷たい風、あるいは吹雪をあらわした木管楽器の連符も細やかに、暖炉の周りは暖かく楽しく安全だけれども、遠くから鳴り続く膜鳴打楽器のリズムが戦いの記憶の不安と緊張感を忘れさせず、月の明るい夜には山の精霊たちが楽しげに集い踊り、それが人々にも受け継がれて現在に至る。温かさともの悲しさが共存する曲調は、山もそこで暮らす人々も大きく包み込んで肯定している…といったイメージも想起されるような、とても繊細で表情豊かなサウンドをお聴き頂くことが出来ます。

また、リリースCDにこの曲を度々収録してきた高輪台高校吹奏楽部の録音は、

0167
東海大学付属高輪台高等学校吹奏楽部(vol.8)
「スパイラル・レボリューション」
指揮:畠田貴生

↑こちらのCDではセッションレコーディング版とライブレコーディング版を一度にお聴き頂けるほか、

0218
東海大学付属高輪台高等学校吹奏楽部(vol.11)
「スパイラル・ファンタジー」
指揮:畠田貴生

↑こちらのCDでは、次にご紹介する「華麗なる舞曲」も合わせてお聴き頂けます。
高輪台高校による演奏はいずれもコンクールカットバージョンでの演奏なので、そのイメージをつかむのにぴったりですし、リコーダーアンサンブルによるルネサンスダンスのパートも演奏・録音共にじっくり聴くことが出来る内容だと思いますのでこちらもおすすめです。

それでは次の曲に参りましょう。

0054
土気シビックウインドオーケストラ(vol.8)
「C.T.スミス 華麗なる舞曲」
指揮:加養浩幸

静岡県は静岡大学が演奏する、C.T.スミスの「華麗なる舞曲」が収録されています。
この曲も、欧文題にある”Folâtre”(フォラートル ※rの発音は要注意です!)はフランス語ですが、仏和辞典で引いてみると「(形容詞)浮かれた、はしゃいだ」という言葉が書いてあり、「華麗なる」と格式ばった格好のいい日本語とは少々印象が違いますが、非常に華やかで派手な楽曲の内容に対してとても正直なネーミングであるように思えます。

例によって米国空軍軍楽隊の委嘱作品ということで、技術的に大変難しく、しかも曲が始まった瞬間から「華やか!派手!」という印象を押し出してくる作品です。聴衆も演奏者も一気に“舞い上げられてしまう”…曲の性格は多分にそうだと思いますが、実際にどうなるかは演奏如何ということも勿論ありますので、そういうところもちょっとコワイ楽曲ですね。

先にご紹介した高輪台高校吹奏楽部「スパイラル・ファンタジー」の演奏は、なんといってもフレッシュで元気で若さが溢れている、「キラッ!!」としたサウンドが魅力です。
他に、こんなCDも。

0226
光ヶ丘女子高等学校吹奏楽部
『R.シュトラウス 「ばらの騎士」組曲』
指揮:仲田守、日野謙太郎、香川康之

当該曲は2014年の定期演奏をライブ収録したものですが、その臨場感と共に「山が動いた!」的な、とても大きなものが一斉に動いて迫ってくる…という迫力を感じて頂けることと思います。
今回の全国大会での演奏も楽しみですね!

3曲目はこちらのCDから。

0011
静岡県富士見高等学校
「ロシアの響き 第31回吹奏楽定期演奏会」
指揮:石川喬雄

こちらのCDに収録されている、P.I.チャイコフスキーの「イタリア奇想曲」を、愛知県の日進市立日進西中学校吹奏楽部が全国大会で演奏します。
このCDに収録されているのは富士見高校吹奏楽部の顧問・石川氏の編曲によるもので、今年の全国大会で演奏される編曲とは異なりますが、“予習”としてお聴き頂ければと思います。
チャイコフスキーがイタリアを訪れた際の印象を元に、形式にとらわれず自由な書法で書いた作品…ということなのですが、そう思って聴けばまさに「チャイコフスキーのイタリア見聞録」、あるいは「周遊記」といった趣で、さらに聴くのが楽しくなってきます。曲の終わりの方になると、だんだん…チャイコフスキー自身もイタリア人みたいな気分になってきて…どんどん朗らかな気持ちになってきて…「楽しかったよ!」と旅行の思い出話を聞いたようで、こんな大作曲家に対して親しみが感じられますね。

静岡県の浜松交響吹奏楽団が演奏する、真島俊夫「富士山~北斎の版画に触発されて~」は度々の登場になりますが、各CDとも好評発売中です。

0243
昭和ウインド・シンフォニー
「真島俊夫 富士山~北斎の版画に触発されて~」
指揮:ユージーン・M・コーポロン、福本信太郎

0251
神奈川大学吹奏楽部
『楽劇「サロメ」より 7つのヴェールの踊り』
指揮:小澤俊朗

…というわけで、本日は東海支部代表団体の自由曲から何曲かをご紹介させて頂きました。次回は、北陸・東北編をお届けしたいと思います!どうぞ、お楽しみに!

タイトルとURLをコピーしました