こんにちは。2014年になって、早くも1月が終わろうとしていますね。
1月最後の週にすべり込み! 今回もCAFUAレンタルライブラリーの中から、時間をかけて磨き上げたいちょっと難しめの作品をご紹介したいと思います。
まずはコチラ。
カタリナの神秘の結婚 / 樽屋雅徳
演奏時間 約7分半
レンタル価格:28,000円(税抜)
「カタリナって、誰?」まずは、そこからですよね。
カタリナはキリスト教の聖人で、サンタカテリーナ、キャサリンなどと呼ばれることもあります。
イエスとの婚姻的体験をし、その生涯をイエスとその教えに捧げたという女性です。
樽屋氏の作品においては、画家コレッジオの「聖カタリナの神秘の結婚と聖セバスティアヌス」という絵画がもとになっており、幼子イエスが乙女カタリナの手を取り、婚姻の指輪をはめようとしている様子が描かれています。
さてこのカタリナという女性、素晴らしい博識に恵まれ、50人もの哲学者を説き伏せてキリスト教に改宗させたという伝説もある程の人物なのですが、それを前提に。
人々に、ある共通の困難や試練、課題があったとします。
そのとき、課題が同じものであっても、取り組み方はきっと人によって異なるのではないでしょうか?
いまや教育・学問全般の守護聖人となったカタリナなら、それらの課題にどう立ち向かっていくのか…。考えながら演奏してみるとまた面白いかもしれません。
ソロや人数の少ないアンサンブル部分もある作品です。また、前半の“試練・困難”の後に訪れる“平安”のなかにも一抹の不安があり、カタリナの女性らしさと共に、人間らしさへの親しみも感じられます。
樽屋雅徳「カタリナの神秘の結婚」は、こちらのCDに収録されています。
樽屋雅徳 作品集Vol.1 ~マゼランの未知なる大陸への挑戦~
(演奏:宝塚市吹奏楽団)
CAFUA CACG-0145
アトランティス
演奏:宝塚市吹奏楽団
CAFUA CACG-0113
それでは、2曲目に参りましょう。
原石の未来 / 清水大輔
演奏時間 約8分
レンタル価格:28,000円(税抜)
タイトルにある「原石」は、「夢を持ち、それに対して惜しみない努力をしている人たち」を指しています。作曲段階で「民族的な音楽」への着想、そこからアフリカ的な音楽のイメージをふくらませていったと清水氏が自ら語る通り、声部の使い方、特徴的な打楽器の使用とそれによって演奏されるリズムパターンにとどまらず、
全曲を通してどこかとても広々として力強く、荒涼とした大地にあるかのような“空間感”を感じられる作品です。
木管楽器の細かい音符に不安や困難を、金管楽器のフレーズに希望や勇気を込めたと、作曲者の語るところではありますが、木管に加え鍵盤打楽器などにも続く、細かくスピード感のあるパッセージは文字通りちょっとした“困難”と呼んでもいいのではないでしょうか。
それでも、全曲を通して流れる力強さ、作品に込められた「原石たちへのエール」を感じ取って頂ければ、練習中もきっと心強く、何かの自信を持って取り組むことが出来るでしょう。
原石と呼ぶべき方々に「この作品は自分たちの為にある!」と感じてもらうことが出来たらと、横から密かに願う次第です。
清水大輔「原石の未来」は、こちらのCDに収録されています。
CAFUAセレクション2005 吹奏楽コンクール自由曲選 「エブリデイ・ヒーロー」
演奏:航空自衛隊西部航空音楽隊
CAFUA CACG-0065
続いて、本日3曲目のご紹介です。
ウィンドオーケストラのためのヴァニタス / 高昌帥
演奏時間 約6分半
レンタル価格:28,000円(税抜)
「ヴァニタス=vanitas」は、17世紀頃にオランダなどで書かれた静物画のジャンルで、「世の、人生のはかなさ」をテーマとしています。日本語で言うと、“諸行無常”などの言葉がありますね。
骸骨や爛熟した果物などがよく描かれ、見た人の心に一種の警鐘を響かせるような、“気付かせる”性質のものといえます。
高氏は創価グロリア吹奏楽団からの委嘱を受け、この作品を書き上げました。無から有が発生する時の妖しさ、グロテスクな様、昂り、そして崩壊して無に帰するまでの流れを、劇的に表現して欲しい…と解説で語っています。
ソロで奏でる部分も多く、現代的なアプローチながら全体的にすっきりとした印象を受けます。現代的な楽曲をお探しの方には、ぜひチェックして頂きたい作品です。
高昌帥「ウィンドオーケストラのためのヴァニタス」は、こちらのCDでどうぞ!
VANITAS
演奏:創価グロリア吹奏楽団
CAFUA CACG-0160
M・ファリャ バレエ音楽「三角帽子」
演奏:神奈川大学吹奏楽部
CAFUA CACG-0169
それでは、次の曲に参りましょう!
オルテンシア-雨中に煌めく硝子の紫陽花
演奏時間 約9分
レンタル価格:28,000円(税抜)
日常と非日常があり、その境をつきつめた現代的な作品。
オルテンシア”ortensia”は、イタリア語で紫陽花を意味します。
ある日、作曲者の中橋氏は、ガラスで出来た紫陽花に出会ったそうです。
その紫陽花は、庭園の生の紫陽花の植え込みの中に、生花に囲まれるように展示されて(植えられて?)いたんですね。
“普通の紫陽花”と、“普通じゃない紫陽花”が入り乱れて咲いている様子から、“日常”と“非日常”、さらに“調性”“無調性”の二項対立へとアイディアが深まっていったようです。
このきっかけとなったガラスの紫陽花は、神奈川県の箱根にある「箱根ガラスの森美術館」の庭園に常時展示されています。雨の季節には、生の紫陽花も美しい庭園です。
美術館のホームページに、ガラスの紫陽花を紹介する動画などもありますので、興味をもたれた方はぜひご覧になってみて下さい。
中橋愛生「オルテンシア-雨中に煌めく硝子の紫陽花」の演奏は、こちらのCDをお聴き下さい♪
ORTENSIA
演奏:創価グロリア吹奏楽団
CAFUA CACG-0098
最後までお読み頂きありがとうございます。
2月以降も、引き続き楽曲のご紹介をしていきたいと思いますので、どうぞお楽しみに。
楽譜事業部
高橋